この研究所について
近代哲学の基礎を築いたイマヌエル・カントが1795年、著書『永遠平和のために』の中で「常備軍はいずれ全廃すべきである」と唱えてから、すでに200年以上。軍隊をすてた“丸腰国家”として、コスタリカはようやくその理想を揺るぎない現実のものにしました。
ローマクラブが『成長の限界』の中で、「右肩上がりの経済成長には限界がある」と警告したのが1972年。それから半世紀弱、ついにコスタリカも持続可能な経済の構築に本腰を入れ始めました。
“丸腰国家”から“持続可能国家”へと変貌を遂げようとするコスタリカを社会科学的に研究する意義は、「人類はどのように進化できるのか」という問いを深めるところにあります。
もっと言えば、「“善く生きる” とはどういうことか?」という、社会科学が始まって以来の哲学的テーマに対する、現時点でのひとつの解答サンプルを解析することです。
残念なことに、日本ではこのような社会科学的研究に、あまりリソースが費やされていません。であれば、私たち一人ひとりがリソースを出し合って、現代の私たちに課せられた課題を明らかにし、以前より進歩した状態で次世代にバトンをつなげていく方法を考えなければなりません。
その方法のひとつとして、2019年にこの研究所は生まれました。
皆様の力で、この研究所を育てていただければ幸いです。
代表理事 足立力也
あなた方は私に問う。「なぜ軍隊を持たないのか?」と。
私はあなた方に問いかけたい。
「なぜあなた方は軍隊を持つのか?と。
リカルド・ルイス
ビジョン
人類には、理想を現実にする潜在的な「ちから」があります。「理想」を「空想」から「現実」に変えるその「ちから」で、人類は「進歩」を遂げてきました。
車や飛行機、コンピュータからスマホに至るまで、私たちが科学技術文明によって達成してきたものも、それにあたります。
同じことは、社会や世界についても言えます。
たとえば、軍隊を持つことを「現実」と言い放ち、軍隊をなくすことを「空想」と斬って捨てることは簡単です。
だからこそ、賢人たちが古来積み上げてきた「理想」を「現実」にしてきたコスタリカについて研究し、その成果を世に広めることは、人類にとって重要なのです。
それは、私たちの社会をよりよい形で次の世代に手渡す助けになるからです。
コスタリカ社会科学研究所は、よりよい人類の将来のヒントを探し、皆さんに広げていくために活動します。