【速報解説・コスタリカ統一地方選挙】
2月4日、日本でも地方選挙がいくつか行われましたが、コスタリカでも統一地方選挙の投票日でした。
以下のサイト(選挙最高裁判所・統一地方選挙開票結果公式サイト)で結果を確認できます。
(下掲画像は上記URLサイトのイメージ)
以前は地方選挙はバラバラに行われていて、国政選挙ほどまとまりがなかったのですが、近年は日程が統一され、選挙最高裁判所(TSE)も一括管理できるようになり、市長の再選が1度だけ(つまり4年の任期を2度まで)に制限されるなどの改革が行われた中での選挙でした。
国全体での投票率は約32%。
これは改革以前とあまり変わっていません。
統一日程になったことで、いくつかのメリットがあったはずでした。
・各政党がそれぞれ期間集中的に運動を強化できるようになりました。
・「選挙シーズン」であることが市民にわかりやすくなりました。
・そのためメディア/ニュースで取り上げられやすくなりました。
にもかかわらず、といったところです。
今回は、再選を目指した30人の現職候補のうち、23人までが再選を果たしました。
また、国政政党として相変わらず「伝統的政党」の地位を保っている国民解放党(PLN)は、国全体では24%の得票率で政党別トップはキープしているものの、実際の勝敗では43あった自治体トップの数が29まで現象し、中でも首都サンホセでのディエゴ・ミランダ候補(フントス・ポル・サンホセ党…なんとなくある国の政党の日本語訳に寄せると「共にサンホセ党」という感じ)に敗れるという「サプライズ」がPLNの凋落を象徴しています。
とはいうものの、地方選においては地方政党の躍進も目立ち、1人の当選者を複数の候補者から一発勝負で選ぶ市長選挙においては、20%台の得票率でも当選するため、よりローカル志向の地域政党にPLNの牙城を崩されたケースも散見されます。
コスタリカの政党は「伝統的政党」と呼ばれるPLNとキリスト教社会民主連合党(PUSC)以外は新たな政党ができては消滅したり分裂したりを繰り返しています。その中で、地方選が統一となったことで、地方政党の足がかりが以前より強くなったと言えます。
これは国政選挙にもつながってきます。というのは、コスタリカの国会議員選挙は全国を7つのプロビンシアごとに分けたブロック比例代表制だからです。これまでも、その制度のもとで地域政党が国政選挙で議席を獲得した例はありましたが、今後そういったことが増えてくる可能性が高まってきました。そうなると、国会議員選挙では地域政党として立候補者を立てつつも、同日に行われる大統領選挙では他の政党との離合集散がより活発になり、さらには決選投票までもつれ込んだ場合には更なる各政党間の関係の複雑化も考えられます。
政治や選挙がよりダイナミックになったという評価も可能な一方で、市民にはより複雑でわかりにくくなったという評価も可能でしょう。これが次の国政(大統領・国会議員)選挙にどのような影響を与えるのか、注目です。
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