top of page
執筆者の写真コスタリカ社会科学研究所

進撃のコスタリカ人!(2)

 コスタリカ人“家族”訪日記、前回の続きです。


 関東・信越・関西地方を巡ったのち、彼らは弊所のある九州までやってきました。

 4月6日夜に新幹線で到着し、まずは晩御飯。

 日本の庶民文化ということで、回転寿司へ。



 最近は箸を器用に使うコスタリカ人も多いんですよね。

 とはいうものの、やはりこの回転寿司システムにはちょっと驚いていたようでした。

 しかし最も驚いたのは会計時。

 「これだけたらふくいろんな種類の寿司を食べて1人8ドル…」

 あまりの安さに絶句です。

 コスタリカの何分の1でしょうか(私もあらためて絶句しました)。

 コスタリカは外食が高い傾向にありますが、それにしても日本は安すぎです。

 コスタリカ人の20代のアニメファンが3週間も旅行に訪れるというのも、ちょっと前では考えられませんでしたが、2024年においてはもはや当然ともいえるのかもしれません。


 翌日は長崎へ。

 平和主義者のコスタリカ人としては、被爆地であるヒロシマ・ナガサキは不可欠ともいうべき訪問地です。

 というわけで、まずは平和祈念公園に向かいます。



 私たちが到着した午前中にはほとんど人影もなく、平和祈念像の青銅色が空の青に静かに溶け込んでいました。上掲写真は午後に戻ってきて、中国からと思しき団体客が押し寄せていた時に撮影したものです。私たちの訪問時には人がいなかったおかげで、ゆっくりと原爆の被害について心を寄せるひとときを作ることができました。



 爆心地を経由して、原爆資料館を訪れます。

 ちょうどボランティアガイドツアーが始まる前だったので、ガイドをお願いしました。その時ガイドツアーを依頼したのは私たちだけだったので、ガイドさんの説明を私が通訳する形で、じっくりと時間をかけて資料の説明を受けました。



 実物大の”ファットマン”と大きさ比較をするために写真を撮ったらいいですよ、とガイドンさんに勧められて撮影した一枚。



 これが実物大と聞いて、ちょっと驚いた様子でした。人間とそこまでかわらない大きさの、たったひとつの爆弾が、長崎を街ごと吹き飛ばすほどの威力を持つとは……。ましてや、軍隊や兵器などは「持たないのが常識」の世界線からは、このようなものを作り、使うなど、逆に「こちらの世界」の方が「あり得ない世界」です。しかし、約80年前にこのたった一発の爆弾が街ひとつ消し去ったことはまぎれもない事実。その「平行世界」を真正面から受け入れようとする20代の姿こそ、「平和主義者が当たり前」の世界線から来た人びとの「普通の姿」でもあります。資料館のガイドさんにその補足説明をすると、「そんな世界もあるんですねえ」といたく感心していました。ちなみに弊所は、その平行世界の「あちら側」から「こちら側」への橋渡しの役目を果たすものです。


 その後、浦上天主堂や片足鳥居などの原爆遺構等を一巡りし、崇福寺・諏訪神社といった鉄板観光地も訪問。ちなみに私は三十数年ぶりに諏訪神社で英語おみくじを引き、見事"Worst"(「凶」)を引き当てました。「旅:今は待て」と書いてありましたが、果たしてこの旅は無事終えられるのでしょうか……。



 諏訪神社からそのまま歩いて、長崎歴史文化博物館へ。ちょうど「北斎漫画展」をやっていたので、常設展とともにそちらも満喫。そもそも彼らの日本訪問の重点目的は「アニメ聖地巡礼」でした。日本人と同等、あるいはそれ以上に日本のアニメや漫画に詳しく(道中ではNARUTOや進撃の巨人のサントラを全曲日本語で歌っていました)、葛飾北斎も富嶽三十六景の最も有名なものくらいは目にしたことがある彼ら。しかも漫画の発祥ともいえる北斎の手本です。穴が開くほど見ていました(確かにめちゃくちゃ面白いです)。


 閉館ギリギリまで楽しんだ後、私の元教え子が働くお土産店にこれまた閉店間際に駆け込んでカステラ等を購入。そのまま彼女も含めて4人で焼肉食べ放題のお店へ。日本でやりたいことのひとつが「食べ放題でひたすら肉を食べる」ことだったそうなので、長崎名物そっちのけでお肉にありつきました。



 彼らにとって日本語名は覚えにくいものです。でも、好きなものならすぐに覚えます。この教え子さんは「あかね」というのですが、やはり一発では覚えられませんでした。そこで私は彼らに尋ねます。


・「らんま1/2は知ってる?」

→「うん、わかるよ」

・「ヒロイン、どんなだったか覚えてる?」

(スマホで画像検索)

→「ああ、こんなんだったね」

・「名前覚えてる?アカネっていうんだけど」

→「そういえばそうだったね」

・「おんなじよ。ショートヘアで活発な女の子、アカネ」

「ああ!!!(笑)」


 入力完了です。これでもう二度と忘れません。



 こうして、奇妙な4人組の焼肉大会も無事終了し、長崎から2時間、車の中でアニメサントラを歌い続けながら帰宅したのでした。


 翌日のメインは“聖地巡礼”。コスタリカ人たちの旅は続きます。

閲覧数:28回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Kommentare


bottom of page